3.自由意志での企業進出。
中国でのビジネスにはリスクがともなう。ましてや反日感情が色濃く残っている旧満州の地では、なおさらである。しかし私は、それらを承知の上で、自分の自由意志で、琿春の地で工場を操業し、ビジネスに邁進する。もちろんこれは、他のだれにも強制されたわけでもなく、当然のことながら日本政府の関与もない。したがってその地で危機に遭遇しても、私は日本政府の保護や救出を求めはしない。また弊履の如く捨てられても、泣き言もいわない。自らの自由意志で、日本国家の主権の及ばない国で、自分の好き勝手にビジネスを行なっているのだから、それは当然の帰結である。
中国ビジネスといえば聞こえはよいが、その実態は金儲けであり、一面では日本人実業家による中国人民の搾取・収奪と表現することができる。中国でビジネスにたずさわるものは、それをはっきりと認識すべきである。言葉を替えて表現すれば、その行為は新植民地主義の先兵なのであり、実際に軍隊が出動すればそれは帝国主義と呼ばれることになる。
中国でものを生産し金儲けをするということは、中国人民の安い労働力を使って、安いものを作り、それを輸出し金を稼ぐということである。中国にものを販売するということは、高い値段で中国人民にものを売りつけ、地場の中国企業を駆逐し、金を稼ぐということである。その行為は、搾取・収奪として批判されても仕方がない一面を持っている。
中国で金儲けをするということは、一面では中国人民を搾取・収奪しているといえるのだから、反日騒動の際には、彼らの餌食になっても仕方がないと覚悟すべきである。最近、米国のニューオリンズ市は巨大ハリケーン:カトリーナに襲われ、大規模な水害に見舞われた。その結果、街は無法状態となり略奪や暴行が頻発した。中国でも今年4月の上海での反日騒動ときには、日本総領事館が投石され、近くの日本料理屋の看板が壊され、店内が荒らされた。公安当局が彼らの行為を制止しなかったため、結果としてそこに一種の無法状態が出現したからである。次に、中国で反日騒動が起きた場合には、同様の無法状態が地方にも拡大し、日ごろの搾取・収奪に対する恨みと反日感情が重なり、日本料理店だけでなく、日本企業を標的にしたもっと大規模な破壊や略奪が起こる可能性がある。中国へ企業進出している実業家は、そのことをリスクとして承知し、自力でその危機を乗り切る戦略・戦術を持たねばならない。
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4.再び、居留民保護の美名による軍隊進出を許してはいけない。
私は、日本国家の主権のおよばない中国へ進出して、自分の自由意志で金儲けビジネスつまり中国人民の搾取・収奪を行なっているわけだから、危機に遭遇しても、私には日本政府の保護・救出は不要である。
私がこのことを、なんども強調するのには理由(わけ)がある。戦前の日本軍の海外出兵の大きな口実の一つが、居留民保護であったからである。そしてその軍隊出動が、今日の反日騒動の原因だからである。
戦後、平和憲法のもとでも、日本政府はそれに類似することを行なっている。たとえば1997年のカンボジア情勢が緊迫したとき、日本政府は在外邦人救出の目的で航空自衛隊のC130輸送機3機をタイに派遣し、待機させた。また98年5月、インドネシア情勢の悪化に当たり、在外邦人救出のため、ふたたび航空自衛隊C130輸送機6機をシンガポール・パヤレバ空軍基地に、巡視船2隻をシンガポール港に待機させた。
これらの前例にならえば、もし今後、中国で大きな反日騒動が勃発し、在中邦人が危機に瀕した場合は、おそらくかなり大規模な自衛隊を含めた救出作戦が展開されるにちがいない。なぜなら、現在、在中邦人の数はタイやインドネシアとは桁違いだからである。中国で働いている日本人、旅行者、留学生などに、日本に帰化したり永住権を取得した後、ふたたび中国へ戻りそこで働いている元中国人を含めると、その数は10万人をはるかに越えるのではないか。それらの在中邦人の保護・救出は容易なことではないだろう。しかし困難だからといって、簡単に日本政府に自衛隊の中国派遣の口実を与えてはいけない。むしろ自衛隊の出動を伴わない、在中邦人の保護・救出のための現実的プランを作っておくべきである。民間機や民間船舶を総動員して、瞬時に救出するシミュレーションを極秘裏に行なっておくべきなのである。
それにもまして、中国進出企業とそれに関わる邦人は、いかなる場合でも日本政府の保護・救出は不要であると公言しておくべきである。それは居留民保護を口実にした自衛隊の海外派遣を阻止するために、つまり戦前の愚行の再現を阻止するために、絶対に必要なことである。本来、そのように宣言し、覚悟した実業家のみが、中国で金儲けビジネスを行なうべきなのだ。
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