労働契約法の実施もいよいよ目前に迫り、労働組合、労働者、企業家等の駆け引きが熾烈になってきた。
時事通信によれば、中華全国総工会(中国の労働組合の全国組織)の孫春蘭副主席は、11月18日、北京で記者会見し、来年の労働契約法の施行を契機に、外資系企業の労組結成率を70%以上にし、全国の組合員数を現在の1億7千万人から2億人に増加させるという強気の発言をした。さらに総工会は12月3日、一部の企業が労働契約法対策として、従業員をいったん解雇し、雇用契約を結び直す「新法逃れ」を行っていることを問題視し、実際に違法行為があった場合には、地元の共産党組織や当局に積極的に通報するように下部組織に指示した。
さらに12月6日、劉継臣総工会法律工作部長は記者会見で、「一律的な辞職勧告」、「見せかけの派遣労働」、「大量の人員削減」が起きており、これらは労働関係法令に違反していると強く指摘した。反面、世間を騒がせた深セン市の華為技術公司の「大量の自主退職と再雇用」については歯切れが悪く、「特殊な事情がある」として例外扱いする不透明な対応を見せた。
一方、労働者も企業側の理不尽な労働契約法対策に、随所で抗議行動を起こし対抗している。東莞市の香港系大型プラスティック工場では、会社側が工員2000人に突然解雇を命じたため、不満を持った数百人の工員が工場側に補償請求を起こす騒ぎが発生した。会社側は来年からの労働契約法を逃れるための人員削減だったことを認めているものの、10年以上勤務した工員は対象としないと強調したが、労働者側は納得せず、当局が仲裁に入った結果、工員と引き続き2年の労働契約を交わすことで決着した。
上海でも私たちの同業者の上海ON時装有限公司で、騒ぎが起きた。会社側は従業員400人強のうち古手の201人の中で、書面契約のない99人を解雇し、書面契約のある102人は55日間の短期契約に切り替えることを決定し、従業員に伝えた。労働者側は労働契約法施行前に解雇されることを危惧して、集団で提訴に踏み切った。
これらの事態に対する企業側の究極の解決方法は会社の解散である。東莞市の靴メーカー「登登鞋廠」では、会社を解散し、4000人の従業員を全員解雇することを決定した。1989年開設の同工場の人事担当者の周さんは、会社解散は経営者が他の事業への転換を望んでいるためであり、解雇される従業員には労働契約法に従って一人当たり最高10万元の補償金を支払うと説明し、その金額は4000万元に及ぶと発言している。しかし関係者らは、この解散について、来年から施行される労働契約法に勤続年数の長い従業員への優遇措置が盛り込まれたことによるコスト増を、経営者が恐れたためではないかと憶測している。
12月6日付けの台湾経済紙によれば、来年の労働契約法施行を前にして、深?市の台湾企業の倒産、休業が続出していると報じている。労働契約法は労働保障では世界最高規格とされ、労働者の待遇を保護する規定が多く、労務費の上昇が必至であり、企業にとって負担の重い法律のため、「年を越せない」という企業が少なくないという。朱江デルタ地域では、100社以上の台湾企業が来年の旧正月以前に閉鎖するという。なお深?市の調査では、すでに休業や閉鎖し移転することを決めた企業は522社に上っている。
行政当局はこれらの騒動を未然に防ぐために、労働契約法のひな型を発表し、労使双方を招き、勉強会などを行っている。北京市労働補償局は5種類のひな型を提示した。提示したのは@期限のある労働契約、A期限のない労働契約、B一定の労働任務の完了を期限とする労働契約、C派遣契約、D非全日制契約の5種類。広州市社会保障局も、労働契約法のひな型を公開し、企業は可能な限りこれを使用してほしいと通達している。このひな型については全文が入手できたので、翻訳し中小企業家同友会上海倶楽部HP上に公開しているので、ぜひ参考にしてほしい。 |
|
|
|