2005年に入って、「中国は世界の市場」の掛け声のもとに、外資が中国市場になだれ込んできた。それはあたかもかつてのゴールドラッシュを思い起こさせるようだ。しかしながら現実の中国市場は、幾重ものドサクサの渦中にある。果たして、だれがこの市場の勝者になり、金をつかむのだろうか?
<第1のドサクサ>
1月11日、上海で開催された東京三菱銀行の講演会は、あふれんばかりの参加者とその熱気で、むせ返るようであった。その講演会のテーマは、「中国の商業開放の現状」であり、立ち席も含めてざっと400名の受講者がそこに参集した。
昨年4月、中国政府はWTOに加盟したときの公約通り、外資への商業分野への開放政策を打ち出した。しかしその法令は大枠が示されただけで、細則が未発布のまま、12月11日の実施期限を迎えた。その結果、中国市場への参入を目論み、当局に商業公司の設立を申請した外資企業は、ごく少数の企業を除いて、ほとんどが未認可のままとなり立ち往生してしまった。したがって現在、多くの外資企業とそのビジネスマンが、血眼になって法令の行方とライバル会社の動向を追っている。その結果が、上記の講演会の大盛況となった次第である。
従来、中国政府は商業分野の部分的開放政策として、暫定弁法と称する試行法令を重ねてきた。結果、それらの先行法令と、今回の法令との間で整合性が取れず、細則を発布するのにかなりの無理が生じているようなのである。上記の講演会の講師も、今後の細則の発布を待ち、それまで慎重に様子を見ることがのぞましいとの見解であった。うがった見方をすれば、この状態は中国政府が国内商業企業を守るために、中国市場を早急には無制限の開放をしない方がよいと判断し、時間稼ぎをしているようでもある。しかし一方では、なぜか運よく認可された一部の外資企業が、中国全土を席捲する勢いで販売活動を開始している。その現状を見ると、いちがいに時間稼ぎが細則発布遅延の主因であるとは思えない。
いずれにせよ未認可の外資企業は始発のバスに乗り遅れたわけだから、細則未発布という暗闇の中でも、手探りで前進し、せめてこのドサクサの渦中から、1日でも早く脱け出すことができるように、情報収集に全力をあげ、認可を得るために奔走しなければならない。
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<第2のドサクサ>
1月、中国政府は突如として、繊維製品に輸出関税を課した。この事態には、だれもが驚き、対策のために右往左往した。これは中国政府のセーフガード対応の奇策であった。WTOに加盟した中国は、外資企業への市場開放と引き換えに、対欧米繊維クォーターの撤廃という絶対の条件を手に入れた。これによって中国繊維業界にとっては、対欧米輸出の最大の難関が取り除かれたことになり、大量に製品を輸出し、大儲けすることが基本的には可能になった。しかし欧米側は、セーフガードの発令という輸入制限のための最後の手段を残しており、昨年来、欧米政府と中国当局との間で、虚々実々の駆け引きが行なわれていたようである。われわれもこの行方を注視していた。ところが昨年12月半ばになって、中国当局はこのセーフガードをかわす奇策を繰り出してきた。繊維製品に輸出関税を掛け、欧米への怒涛のような輸出を自主規制しようというのである。この法令は事前にはいっさい通知されておらず、すべての企業にとってまさに寝耳に水であった。わずか半月後の1月1日には、細則まで含めて発布され、即、実施となった。しかもその関税は、輸出先を欧米に限定したものではなく、全世界向けに適応となり、日本向けまでがそのトバッチリを受け、相応の輸出関税を払わなければならなくなった。この法令はまさに電光石火、有無を言わさず断行された。
この数年、中国の繊維企業はクォーター撤廃後の欧米市場への輸出を目指して、生産規模を飛躍的に拡大させてきた。これらの繊維企業がこのドサクサで立ち往生し、製品を国内市場販売などに向け、一時避難をしなければならなくなった。一方、国内市場向けの生産企業は、突然の参入者を迎えて、これまた熾烈な販売競争に巻き込まれることになった。もちろんこの余波は、日本向けの繊維製品輸出にも少なからぬ影響を及ぼすことになった。
報道によれば、欧米側はこの輸出関税政策を評価せず、やはりセーフガードを発令する準備を進めているという。これに対して、中国政府は、輸出関税額を大幅にアップすることを考えているらしい。さらにまた次なる奇策を準備しているという。まさに繊維業界では一寸先は闇のドサクサ状態の中で、今後も熾烈な戦いが続く様相である。
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